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Containment COPでは、「科学的根拠に基づいたリスク評価」による交叉汚染対策と作業者の曝露対策(封じ込め技術の適用)の構築とその普及に努めています。
共用設備における交叉汚染の防止は、重大なGMP基本要件のひとつです。近年、ICH Q9に基づくリスクマネジメントの観点から、医薬品製造における交叉汚染防止について、リスクベースで管理することが要求されており、欧米では、特に高活性医薬品製造時の設備専用化要件について根本的な見直しが進められてきました。
ISPE(国際製薬技術協会)では、2010年にICH Q9(リスク管理)に基づき、医薬品製造におけるGMP要件(患者に対する交叉汚染リスク)と産業衛生要件(作業員に対する産業衛生リスク)の管理に関するBaseline Guide, “Risk Based Manufacture of Pharmaceutical Products”(通称、Risk MaPP)を発行し、2017年にEMA、FDAのレビューを受けて改訂版(2nd Edition)を発行しています。
Risk MaPP初版の発刊後、交叉汚染防止に関しては、2015年3月1日にEU-GMP Chapter 3.6、5.18 – 22の改訂、及び同年6月1日には、健康ベース曝露限度値の設定に関するEU- HBEL(Health Based Exposure Limits)ガイドラインが施行され(これらのガイドラインの内容は2018年にPIC/S-GMPに反映されています)、共用施設におけるすべての医薬品に対してPDE/ADE(一日曝露許容量)に代表されるHBELを設定し、HBELに基づく交叉汚染リスク管理を実施することが要求されています。
一方、国内においても2021年8月に発出された改正GMP省令の公布通知において、PIC/S-GMPとの整合性をとる形で、交叉汚染を防止する適切な措置に関して「薬理学的・毒性学的評価による科学的データに基づいて、当該製品等の成分の残留管理が可能である旨が裏付けられること。」という文言が記載され、GMPの交叉汚染防止要件は、従来の“ハザードベース”からICH Q9に基づく“リスクベース”の管理へ抜本的な変化を迎えています。
また医薬品の取り扱いに従事する作業者の曝露対策についても、「科学的根拠に基づいたリスクベースアプローチ」が必要となり、Risk MaPPの産業衛生に関する記載が注目されています。
Containment COPの主な活動内容は以下の通りです。
Ⅰ.ISPE Baseline Guide:Risk MaPP 2nd(Risk Based Manufacture of Pharmaceutical Products 2nd Edition)の普及
Risk MaPPの使命は、「健康リスクに基づいた交叉汚染限界値、洗浄バリデーション限界値、及び、作業者の安全性限界値を設定し、これらの限界値を評価軸として、製品の品質(患者への安全)と作業員の安全を維持するための、ICH Q9に則った科学的なリスクベースアプローチ(Scientific/Risk Based Approach)を提唱する。」というものです。Risk MaPPで提唱された内容は、FDA、EMAやPIC/Sの査察当局が進めようとしているGMP交叉汚染防止要件や専用化要件の改定コンセプトに合致したものとなっています。Containment COPでは、このガイドラインの普及のため、その翻訳版を発行し、業界誌や講演会など機会あるごとにその内容を紹介し、必要に応じて補足資料を作成し公表するといった活動を続けています。
Risk MaPP 2nd Edition
https://www.ispe.gr.jp/ISPE/07_public/07_01_43.htm
Ⅱ.封じ込め技術サロンの開催
封じ込め技術に関する話題や疑問事項をCOPメンバーが持ち寄り、メンバー間で意見交換を実施しています。本サロンにはPMDAもオブザーバーとして参加することがあります。
Ⅲ.分科会活動
Containment COPでは医薬品製造における交叉汚染、産業衛生リスク管理を効果的にサポートするために、複数の分科会を編成して活動し、活動の成果についてはISPE年次大会Containmentワークショップの場で報告しています。
曝露測定DB=PEEM-DB(Pharmaceutical Equipment Exposure Measurement - Data Base)
「科学的根拠に基づいたリスクベースアプローチ」のサポートとして、封じ込め設備の飛散/移送の曝露測定結果をデータベース化したものがPEEM-DBです。2019年7月より、約300点のデータの公開を開始しました。チームメンバー所属企業の協力による実験結果も随時更新していきますが、皆様からのデータご提供をお待ち申し上げます。
PEEM-DB ご案内
https://www.ispe.gr.jp/ISPE/04_cop/pdf/PEEM-DB_torikumi.pdf
データ募集に関するご案内ならびに情報提供に関する承諾書
(上記ご案内に同一のリンクがございます)
https://www.ispe.gr.jp/ISPE/04_cop/pdf/syoudaku.pdf
PEEM-DB
※閲覧に認証を求められた場合は、そのままISPE日本本部会員専用ページへのログイン操作を行ってください。
https://www.ispe.gr.jp/ISPE/04_cop/pdf/mensekizikou.pdf
Good Practice Guide: Containment for Potent Compounds翻訳
現在、国際本部から発刊されている“Good Practice Guide: Containment for Potent Compounds(略称:Containment GPG)の日本語版発刊に向けて翻訳活動を進めています。
https://ispe.org/publications/guidance-documents/good-practice-guide-containment-potent-compounds
Ⅳ.ISPE Good Practice Guide:Cleaning Validation Lifecycle: Applications, Methods, and Controlsの作成と普及
ISPE国際本部、各国支部と電話会議を重ねながら、Cleaning Validationに関するGood Practice Guideを作成しました。現在、ISPE国際本部より発刊されています。
https://www2.ispe.org/iMIS/ISPE/Contacts/Sign_In.aspx?ssoredirect=https%3A%2F%2Fispe.org
Ⅴ.曝露測定ガイドの普及
ISPE Good Practice Guide “Assessing the Particulate Containment Performance of Pharmaceutical Equipment” Second Edition(APCPPE)が発行され、その普及をはかるため、当COPで翻訳を進めてきました。このガイドは、曝露測定に基本的な要件が紹介されていて、曝露を定量的に評価するために有効なガイドで、国内外で注目されてきたガイドです。現在、電子書籍として出版中です。
APCPPE
https://www.ispe.gr.jp/ISPE/07_public/07_01_08.htm
Ⅵ.国際活動
毎月、Web会議にてContainment COP Steering Committeeとの情報交換を進めています。
Ⅶ.PDE設定検討会*の活動
交叉汚染限界値として用いられるPDE(Permitted Daily Exposure/1日曝露許容量)の設定には毒性の専門家の知識と経験が必要であり、特にジェネリック医薬品については、同一の医薬品に対するPDE設定値が製薬企業間で大きな乖離が認められる場合もあります。ISPE Containment COPでは、医薬品の交叉汚染に対する患者の保護という観点から、国内製薬業界においてPDE設定のできる専門家の育成、並びにPDE算出の考え方について一定の認識を共有化しておくことが必要と考え、PDE設定検討会を発足させるに至りました。
同検討会におきましては、2021年12月末にPIC/S-HBEL設定ガイドライン(Guideline on setting health based exposure limits for use in risk identification in the manufacture of different medicinal products in shared facilities, PI 046-1)の記載内容を補完するPDE設定に関する解説書(- ゼロから学ぶHBEL!-「共用施設における医薬品の交叉汚染防止のためのPDE設定」)をじほう社より出版しています。
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/54118/Default.aspx
* PDE設定検討会は、ISPE Containment COPが発起人として、製薬協、安全性評価研究会、製薬企業等の有識者と共に活動しています(PDE設定検討会は、ISPE日本本部をプラットホームとして活動していますが、ISPE内部の活動ではありません)。
※Containment COPに参加を希望される方は、ISPE日本本部事務局(ispe-admi@ispe.gr.jp)までご連絡ください。
- ■定例会:毎月最終水曜日(13:00~17:00)@東京地区又はWeb meeting
- ■運営メンバー 2024.05.01現在(敬称略、所属組織名五十音順)
氏名 | 所属 | 氏名 | 所属 |
---|---|---|---|
長谷川 正浩 | アズビル株式会社 | 山本 昌宏 | 武田薬品工業株式会社 |
二村 はるか | 株式会社エアレックス | 佐々木 陽平 | 株式会社竹中工務店 |
山浦 勇二 | 株式会社エアレックス | 平澤 大介 | 中外製薬工業株式会社 |
関口 和俊 | FandLa合同会社 | 吉野 麦 | 千代田エクスワンエンジニアリング株式会社 |
須郷 心 | 株式会社大林組 | 山口 嘉崇 | テックプロジェクトサービス株式会社 |
上野 恵理子 | 小野薬品工業株式会社 | 熊澤 俊介 | 東芝ナノアナリシス株式会社 |
竹川悠人 | 小野薬品工業株式会社 | 石川 優太朗 | 株式会社奈良機械製作所 |
長谷川 あゆみ | 小野薬品工業株式会社 | 田邊 文明 | 株式会社奈良機械製作所 |
松本 博明 | オフィス貴席 | 小田島 隆夫 | 日医工岐阜工場株式会社 |
河内 秀夫 | 株式会社カネカ | 長崎 健一 | 日揮株式会社 |
佐藤 隆行 | 株式会社 菊水製作所 | 原田 路子 | 日新製薬株式会社 |
橋本 俊太 | 株式会社キット | 長門 琢也 | 株式会社パウレック |
荒俣 敦識 | 協和ファーマケミカル株式不会社 | 橋爪 隆秀 | 株式会社畑鐵工所 |
吉川 覚 | シオノギファーマ株式会社 | 吉田 健一 | 株式会社樋口商会 |
塩谷 正臣 | 澁谷工業株式会社 | 野澤庸之 | 株式会社日立プラントサービス |
加藤 伸明 | シミックCMO株式会社 | 竹田 守彦 | ファルマ・ソリューションズ株式会社 |
田中 佑子 | 株式会社住化分析センター | 落合 敬之 | ホソカワミクロン株式会社 |
服部 宗孝 | 製薬コンサルタント | 平松 真一 | 三井住友建設株式会社 |
松永 伸一郎 | 武田薬品工業株式会社 | 中川 真仁 | 六菱ゴム株式会社 |