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無菌 COPの概要

無菌 COPについて

無菌COPは、世界のGMP動向の調査や無菌医薬品製造プロセスでの様々な課題の討議、さらには最新の技術情報の収集と分析などを通し、各人の持つ諸問題、疑問解決の糸口を見出すための場となる活動を行っています。また、このような活動を通じて、無菌製剤に関する技術や動向を発信し、無菌GMP分野で有用な情報提供を行うことを目的としています。

設立の背景

アイソレータやRABS技術のように製剤プロセスでの技術革新が世界のGMP動向に大きく影響する時代になり、これらの技術を正確に使用するため、その背景や定義を正しく理解する重要性が増しています。このような中、ISPEでは、毎年欧米で定期的に無菌アイソレータ、RABSなどの最新のトピックスがバリアアイソレーションセミナー等で紹介されるようになりました。年次総会でも無菌に関する講演も多くありますが、未だ欧米間でも考え方にギャップが見受けられる事が多々あり、日本においてもこれらの教材を通して共に学ぶ機会はありませんでした。そこで、最新の欧米および日本の技術情報の収集と分析などから、自らの無菌医薬品製造プロセスでの様々な疑問や問題について、将来も展望したこれらの課題の解決の糸口を求める場として、無菌COPの設立に至りました。また、ISPE 無菌Baseline Guide の改訂が進んでいたことから、この研究や翻訳も含めた日本語版の発刊業務を推進する必要がありました。

活動の概要

  1. ISPE Baseline Guide Vol.3“Sterile Manufacturing Facilities”改訂版の発刊対応
    ISPEでは、Baseline Pharmaceutical Engineering Guide Vol.3として、2011年に「Sterile Product Manufacturing Facilities」の改訂版を発刊しました。本改訂版を無菌COPで翻訳し、日本語版をISPE日本本部より2012年7月に発刊しました。また、2012年7月には、Baselineの執筆者であるGordon Farquharson氏を招聘し、セミナーを開催しました。
  2. RABS・アイソレータ実態調査アンケート対応
    日本における、RABSおよびアイソレータの実態調査を目的として、定期的なアンケートの実施を行っています。2016年の年次大会では、アイソレータおよびRABSのアンケート結果を発表しました。
  3. RABSの現状と今後の展望についての研究、日本でのRABS使用状況の調査
    近年、無菌医薬品製造においてアイソレータと共に注目されているRABSの現状と今後の展望についての研究と、日本の製薬会社に依頼したRABS使用状況についてのアンケート調査結果をPHARM TECH JAPANで2回に分けて紹介しました。また、「無菌バリアシステムの最新動向と対応」というテーマで、アイソレータとRABSの設計留意点、アンケート調査結果、アイソレータとRABSの選定方法について2011年にISPE研究成果発表会で発表しました。
  4. PHSS Technical Monograph No.15の研究
    イギリスを中心とした業界団体PHSS(Pharmaceutical and Healthcare SciencesSociety)は、ISPEのRABSの定義をベースとして、消毒システムを含めた様々なRABSについて新たに分類し、その内容をPHSS Technical Monograph No.15として発刊しました。本Technical Monographについて、ISPEのRABSの定義との内容比較や世界で発刊されている無菌医薬品製造に関するガイダンスとの内容比較を中心に研究を行い、その成果を2015年の年次大会で発表しました。
  5. 無菌医薬品製造に関するGMPおよび技術の最新動向共有と分析
    ISPEのカンファレンスおよびセミナー等で得た無菌医薬品製造に関するGMPや技術の最新動向を継続的に共有し分析を行っています。
  6. 無菌関連トピックスに関する意見交換
    無菌医薬品製造に関するトピックスや各人の持つ諸問題・疑問について、意見交換を行います。メンバー同士の活発な議論はもちろんのこと、時には業界の専門家を招聘し受講の機会を設けることで、積極的な解決を図ります。他社の事例や専門家の意見を入手する事ができる有意義な場です。

メンバー募集

現在、約70名で活動しており、製薬会社(研究・製造・品質管理・設備管理)、エンジニアリング会社、設備・機器会社等、多様な分野の専門家で構成されています。自社内では判らないことなどを気軽に相談できますので、是非、お気軽にご参加ください。

今後の活動

無菌に関する学ぶべき課題は、世界的視野に立って、益々広く深いものが求められてきています。その中で、ISPE日本本部での無菌COPでは以下のようなテーマを中心としてISPEらしい切り口を模索しながら皆さんと共に研鑽していきたいと考えています。また、同時に各自の身近な諸問題についても、サロン的な雰囲気で討議したいと思っています。

  1. RABSの研究
    日本のユーザーの実態を把握しながらRABSを選定、運用するために役立つ情報提供を行っていきたいと考えています。2016年はPHSS Technical Monograph No.15などを参考に、リスクベースドアプローチによるRABS設計手法の具体化に取り組みます。
  2. リスクベース環境モニタリングの研究
    無菌医薬品の製造環境における環境モニタリングのポイントおよび頻度を、リスクベースで設定する研究を行います。2016年はRABSを使用した場合について、リスクベースの考え方の具体事例を作り上げる予定としています。
  3. エンジニアリング的視点からのシングルユース技術の研究
    シングルユース技術が製造設備立上げの時間短縮、洗浄や滅菌の対応が不要になるなどにより、需要が高まっています。一方、シングルユース技術を導入し運用するにあたり、様々な課題があるものまた事実です。そこで、様々な課題を明確にするとともに、その解決策をエンジニアリング的観点から提案することを目的に研究を進めています。
  4. HEPAフィルタの完全性試験の適正化に向けての試み
    HEPA完全性試験へのGMP要求とその負荷が高いにも関わらず、その試験の実態は人の熟練に頼っているのが現状です。そこで無菌環境の創造する「HEPAリーク検査の妥当性」の研究と提案として「実務的」+「実証的」に進めています。
  5. その他
    • 無菌Baseline Guideの研究と紹介
    • PIC/Sの研究
    • GMPの動向とその分析
    • ISPEセミナーでの無菌に関するトピックス
    • 査察事例紹介
    • 無菌バルクハンドリング技術の研究
    • 無菌室(クリーンルーム)関連技術
      (更衣、防虫、除染、滅菌、ろ過フィルター(液体・気体)などの調査・検討)
    • その他の技術、トピックス
      (生物製剤、抗生医薬品、パンデミック、ロボットなど)

無菌COP定例会議

定例会議は、毎月 第4木曜日 13時から17時で行っています。