
ISPE日本本部の歴史
90年代初期のISPE国際本部による試み
1985年頃から、ISPEが米国で開催する教育プログラムに日本から参加者がみられるようになりました。
1990年代になるとISPEも欧州に活動を広げ、そこからの入会者が見受けられるようになり、欧米で開催されたISPE国際会議に日本から直接参加するグループやISPEに入会する会員も次第に増えました。
1996年6月、ISPE国際本部は当時のダウリングISPE会長(当時ゼネカ)と最高運営責任者のベスト氏他が訪日し、日本人会員と共に日本本部開設の可能性を探りました。その結果、未だ、日本で単独に本部を作ることは時期早尚と判断されました。しかし、製剤機械技術研究会とアライアンスをすることが決められ、テクノロジー・トランスファー・ガイドライン等の作成を行い、製剤機械技術研究会のコメントが数多く採用されました。
また、製剤機械技術研究会の国際委員会の有志がISPE国際本部の年次大会に参加しました。
2000年 インターフェックスジャパンでの挫折
1999年から2000年までインターフェックスジャパンにおいて、ISPEは医薬技術セミナーを開催し、プレナリー・セッションで米国FDAおよびISPEの欧米の著名な講師を招聘し、日本でのISPE新会員の大幅な増員を期待しましたが、展示会部門の活況とは対象的に、ISPE会員の拡大にはつながりませんでした。この結果と原因を分析し、ISPE国際本部では残念ながら日本から当面の撤退を2000年6月決意しました。
2001年 ISPE日本支部設立準備会発起人会の立ち上げ
この状況に鑑み、日本では長田伸一氏(当時日揮)と福田淑造氏(当時日揮)はISPE国際本部と調整してISPE日本支部の立ち上げを提案し、そのタイミングを協議しました。
平地富安氏(当時武州製薬)、栄木憲和氏(バイエル薬品)、京極博氏(当時千代田化工建設)、山本恵司氏(千葉大 大学院教授)、川島嘉明氏(当時岐阜薬科大教授)、三宅康夫(当時エーザイ薬博物館)を中心とし、2001年5月、総勢15人の日本人有志がエーザイ本社に結集し、ISPE日本支部設立準備会発起人会を組織しました。この発起人会会長には、平地富安氏が就任し、有志全員の協力で設立準備作業を進めました。
2001年 9.11テロで渡航禁止最中のラスベガスで認可を求めて
プレゼンテーション
2001年10月27日、平地、長田、京極の3氏は、ラスベガスで開催されたISPE年次総会の国際理事会に参加し、ISPE日本本部結成の為のプレゼンテーションを行いました。
その熱意はISPE国際本部理事の高い評価を受けるところとなり、満場一致でISPE日本本部設立が即日認可されました。その日本語正式名称をISPE日本地域本部(英語名称 ISPE JAPAN AFFILIATE)とすることが決定(その後、地域を無くしISPE日本本部に改称)しました。
2002年6月12日 創立大会の開催
2002年6月12日・13日に江戸川区のタワーホール船堀(旧総合区民センター)でISPE日本本部創立総会と創立記念大会が350人の参加者を集め盛大に開催されました。この年次大会で平地富安氏が正式に初代の会長に就任しました。本大会にはFDAからCDERのホイバーグ氏が来日し、基調講演を行いました。以降ISPE日本本部年次大会にはFDAから講演者をお招きし、毎年継続して基調講演をしていただいています。
2002年 "Affiliate of the Year"賞をISPE日本本部が受賞
2002年10月に米国オーランドで開催された、日本からも多数の会員が参加したISPE国際本部年次総会では、最も目覚しい活躍した世界のAffiliateの中から与えられる"Affiliate of the Year"という名誉ある賞をISPE日本本部が受賞しました。
2002年1月 GAMP JAPAN FORUMの設立
2002年1月28日、ISPE日本本部の活動の一端を担うGAMP JAPAN FORUMが島津製作所本社で設立大会を開催しました。播磨理事が初代委員長として任命され国内外で活発な活動が開始されました。特にGAMP4の日本語翻訳活動は記録的な販売実績となり、ISPE日本本部の創設時の財政の健全化に大きな貢献をしました。
2003年10月 湯島にISPE日本本部オフィスを移設開設
ISPE日本本部はこれまで設立準備会発足以来、横浜の日揮(株)内に事務所を設置していました。2003年10月、ようやく東京都文京区湯島に事務局を開設しました。佐原夏実さんを初代オフィスマネージャーとして迎え、専任事務局体制で日常的活動を開始しました。什器類は会員からの提供を募り、緊縮予算の中で活動を充実させています。
2004年12月 米国FDAのPATセミナーを共催
(日本で初めてFDAが開催)
2004年12月8日、ISPE日本本部はFDAが初めて日本で主催するセミナーである"PATセミナー"の共催機関となりました。スケジュール的に厳しいFDAのセミナー企画を受け入れ、服部宗孝(当時アステラス)実行委員長や事務局が一丸となり準備を行いました。東京有楽町の朝日ホールでFDAのPAT専門官Ali Afnan氏とChris Watts氏他が中心となり講演とパネル討論会を開催した結果、250名の参加者が集う、大変意義のある大会となりました。FDAとのチャネルの強さはISPEの特色の一つです。
ISPE日本本部は会員のボランティアにより支えられていますが、今後もこのような活動を通じ産官学が広く情報交換を行い、技術サロンのようなオープンな場を提供し参加者に貴重な経験を与えられるような活動を促進していく予定です。
2002年-2010年 国際本部理事として活動
国際本部理事には2002年に長田氏が当選し、4年間活動されました。
さらに2006年からは平地氏がアジア・パシフィック地域からの代表として4年間活躍されました。
2008年 COP(Communities of Practice)活動が活発化
国際本部のCOPと連携したCOP活動の展開、COPの活動成果の発表、国際本部の最新技術情報の迅速な提供、国際本部の教育プログラムを導入するなど、各種セミナーを開催しています。現在、日本本部では14の専門領域でCOP活動を積極的に展開しています。
2008年10月 "Affiliate of the Year"賞をISPE日本本部が受賞
2008年10月に米国ボカラトンで開催されたISPE国際本部年次総会(Annual Meeting)では日本から38名の会員が参加しました。最も目覚しい活躍をした世界のAffiliateの中から与えられる"Affiliate of the Year"という名誉ある賞をISPE日本本部が受賞しました。2002年の受賞に続き2度目の受賞となります。
2009年 CPIP受験者支援の検討に入る
ISPE国際本部は新たな取り組みとしてCPIP(Certified Pharmaceutical industry Professional)という製薬関連業界のプロフェッショナル認定の仕組みを構築しました。米国以外の支部の活動にも刺激を受け、日本本部としてもCPIP受験者の支援体制を構築することを決定しました。
2010年 CPIP受験支援活動と成果
CPIPの受験者に対する支援プログラムが日本本部にて構築され活動が開始されました。英語による受験にもかかわらず、2009年12月からの受験支援希望者募集には多くの雄志が集まり、受験支援プログラムが開始されました。およそ9ヶ月に渡る英語での支援教育の成果により、日本本部会員からも1名の合格者を排出することができました。この活動は年次予算が確保され、次年度以降も継続されています。
2010年 「防虫防鼠ハンドブック」世界へ
日本本部の工場運営COPが研究成果としてまとめた「防虫防鼠ハンドブック」が英訳され、国際本部のホームページから全世界の会員を対象にPDFでダウンロードできるようになりました。虫や鼠対策という地味なテーマを深く掘り下げてとりまとめたこの活動は、国際本部から高く評価されるとともに、英語版のハンドブックは各国の会員からダウンロードされています。
2011年 10周年記念事業と大震災
2011年はISPE日本本部にとって10周年という節目の年でした。日本本部では記念事業として、10年誌の発刊と10周年記念年次大会の開催というイベントを2010年から準備をしていました。残念ながら3.11の東日本大震災により、予定されていた記念年次大会は中止されました。しかしながら、国際本部は元より各国のISPE支部より、たくさんのお見舞い、お悔やみ、励ましのメッセージおよび義援金をいただきました。日本本部も赤十字に義援金を拠出しています。
年次大会は中止されましたが、10周年誌は予定通り発刊し、会員に配布されました。この10周年誌には設立準備段階から現在に至る様々なイベントが記録されています。
2011年 3度目の"Affiliate of the Year"賞
2011年の11月のISPE国際本部年次総会(Annual Meeting)にて日本本部は3回目の"Affiliate of the Year"を受賞しました。防虫防鼠ハンドブックの発刊が非英語圏のISPE活動モデルの一つとして評価されたものです。
2012年4月 第10回記念年次大会
前年に震災で中止になった10周年記念大会あらため、「第10回記念年次大会」がグランドプリンスホテル広島で盛大に開催されました。ISPE会長のNancy Berg 氏はもとより、PIC/S会長のHelena Paula Baiao 氏はじめ欧米のVIPを招いての大会となりました。大会に会わせ、ISPE国際本部が主催するILF(International Leadership Forum)を招聘。日米欧の規制当局とグローバルメガファーマのトップとのパネルディスカッションは盛況で、大会会場で実現した貴重な意見交換の場となりました。1年遅れの記念大会は多くの参加者にも恵まれ成功裏に幕を閉じました。